2017年5月30日火曜日

陰日向に咲いた花、石田安奈卒業公演


48グループを応援していると、時として己の心の醜さと向き合わねばならないことがある。


特に、いわゆる運営の”推され”ではないメンバーを推していると、どうしても『このメンバーさえいなければ、、』という発想に陥りやすくなる。

シングルなどでの選抜というシステムがもたらした止むを得ぬ摩擦に、その境界線上で最もプレッシャーを受け続けたメンバーこそ他でもない、石田安奈であろう。


かくいう僕も2013年頃から、梅本まどかを激しく推していた時期にそういった感情を抱いたことがあったように思う。



象徴的な出来事が起こったのは、あのナゴヤドーム。


箱で推せ!コンサート内で新曲「未来とは」の選抜発表が行われ、初選抜の梅本まどかは文句なしの大歓声を受ける中、最も微妙な反応だったのがあんちゃんだった。


お互いが譲れない状況でのファンの反応は残酷なほど正直だ。


ドーム後のブログで、「未来とは」の選抜に感謝しつつ


『今はなんだか、言葉にするのが難しいです、、、ごめんなさい。でも、これだけは伝えたいです♪私はSKE48に貢献できる存在になりたい。気を抜かず私らしさの色も忘れず。』

と複雑な胸の内を語っている。

それがきっかけかどうかはわからないが
この「未来とは」を最後に彼女は選抜を外れることになる。


だが、あんちゃんは腐らなかった!


むしろドームという晴れ舞台で屈辱を受け、選抜という梯子も外され傷ついたであろう彼女からはより一層強い輝きを感じるようになった。

持ち前の明るくポジティブな性格からくる言動は、モノマネされる程のキャラ立ちを見せ
SKEで女子力といえばダントツと言えるほどの意識の高さは美容やファッションだけでなく料理方面でもcookpadにレシピが掲載され、記事になるほど高いレベルで発揮されていった。

気が付けば、初代みんなの妹的な存在だった自由奔放なお子様のイメージはもう昔、すっかり大人の女性に変貌を遂げていた。

こうした流れの中で第1回から参加し続け、2015年、ようやく掴み取った悲願の総選挙ランクインは、7回目にして初!というその記録とともに総選挙の歴史に記憶されることになるだろう。

選抜落ちにへこたれず、自分の信じる道を邁進したからこそヲタもその心意気に応えたのだ。

彼女は選抜外メンバーのあるべき姿を示してくれた一つのロールモデルと言って良い存在だと思う。




最終公演で後輩一人一人に激励の言葉をかける彼女は実に頼もしい、カッコイイ大人の先輩といった佇まいであった。

2015年の生誕祭で語った

「石田安奈という花を咲かせたい」

ひとまずアイドルというフィールドでは十分に達成されたと言って良いだろう。

ホリプロに所属が決まり、今後も芸能活動を続けるあんちゃん。

彼女の物怖じしない屈託ない明るい性格は芸能界向きだ。むしろ、アイドルという枠が外れた今後に大輪の花を咲かせる可能性は十分にある。


9作のシングル選抜やAKBとの兼任など、確かに彼女は恵まれていた。


だが、その待遇に見合うほどの結果や輝きをシビアに求めるヲタとの軋轢の中で見事なメタモルフォーゼを遂げ気が付けば、お釣りがくるほどのたくましい成長を見せてくれた。

劇場派の僕にとっては2013年、スタート時から応募し続けてようやく当選した念願のオリジナル「ラムネの飲み方」公演において高柳明音、佐藤実絵子らとともに最も説得力を持って素晴らしいステージを見せてくれたメンバーの一人として今後も忘れることはない!


『皆さんじゃなくて、あなたがいてくれたから、私は頑張れました』


しっかりと自分の言葉で感謝を伝え、後輩に見事な背中を見せてくれた大人のあんちゃんの今後が楽しみでならない!